電子辞書
(2011.12.10)

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電子辞書を比較する上での基本的な知識とメーカーごとの製品の発売の傾向をまとめました。たくさんあってなかなか区別しにくい個々の電子辞書を比較する上での参考にしてください。


メーカー別の製品開発の傾向

2011年からの業界傾向

業界全体としては、スマートフォンの普及により、電子辞書マーケットは縮小傾向。スマートフォンの辞書アプリに電子辞書マーケットは喰われている。
家電量販店での電子辞書売場が、最近、どんどんスペースが悪くなっていることを見ても、電子辞書マーケットが縮小している傾向はわかる。要するに、昔ほど、電子辞書は売れなくなっている。

一方、業界内の話題。
2010年は、コンテンツ数や機能性を競っていた時代は終わりメーカー間・製品間での均質化が進み、価格競争に突入した。
このまま価格競争が続くと思われたが、2011年、トップを独走するカシオ以外の電子辞書メーカーが独自戦略に踏み切り、メーカー間の差別化が確立された。

シャープ「PW-AC」シリーズやキヤノン「A」シリーズに代表される、コンパクト電子辞書のトレンドが大きなトピックだ。
カシオがオーソドックスな筐体で、多コンテンツ・廉価版の新しい電子辞書を多数投入。迎え撃つシャープ、キヤノンは、いずれも1万円前後のコンパクトタイプでスマートフォンを連想させるスタイリッシュな電子辞書を発売。差別化を図る。

価格は、ビジネスマン向け・高校生向け、ともに、普及機は2万円台にまで下がった。機能を絞ったコンパクトタイプでは1万円前後がボリュームゾーン。1万円を切るモデルも出ている。
TOEICや英検などの学習コンテンツが充実したモデルや英語に特化したモデルでも5万円を切る実売価格がふつう。電子辞書は、2011年に、全体的にさらに安くなった。


カシオ
「エクスワード」ブランドを展開。電子辞書のシェアNo.1の地位を今なお維持している。製品ラインナップの充実度も他社を圧倒。電子辞書マーケットにおけるトップメーカーであり、購入にあたって、どの機種も機能面やコンテンツのクオリティは心配する必要はまずないだろう。「迷ったらカシオ製」と思ってもいいほど、電子辞書はカシオ製を買っておけば間違いはない。

2011年は、新入学・新社会人シーズン前に「XD-B10000」「XD-B8500」「XD-B4800」など新シリーズ「XD-B」世代を投入して、電子辞書のラインナップを一新。 2011年後半にも、同じく「XD-B」世代の「XD-B8600」「XD-B6600」「XD-B4850」などを追加。 それぞれカラーバリエーションを用意して価格を抑えた普及機。ビジネスマン向け・高校生向け、ともに、普及機は2万円台に。

シャープ、キヤノンがコンパクトタイプの戦略製品を投入する中、2011年後半に、カラー液晶搭載・多コンテンツ電子辞書の新たに「XD-C」シリーズを発売。機能性とコンテンツ重視の比較的オーソドックスなコンパクトタイプで対抗した。

新モデル「XD-B」シリーズは、耐久性(タフパワー設計・堅牢ボディTAFCOT)に優れ、メインパネルとサブパネルのツインカラー液晶を搭載。タッチ操作・手書き入力に対応。もちろん、音声対応・コンテンツ追加対応。「XD-A」シリーズ同様に機能性は申し分ない。


シャープ

カシオに追いつけ追い越せ、電子辞書マーケットでカシオと2強に。店頭で電子辞書を見比べると、カシオとシャープ(2011年はキヤノンもいい)のディスプレイの鮮明度は抜群。2強は製品の完成度が高い

2011年・春モデルの4製品「PW-A9000」「PW-A7000」「PW-G5000」「PW-G4000」と、その後発売になった「PW-G5100」は、オーソドックスなタイプの電子辞書。(シャープの中で、「PW-A」シリーズは「生活・ビジネス」モデル、「PW-G」シリーズは「学生向け(高校生・中学生向け)」モデルというカテゴリ分けのようだ。)。
一方、2010年に発売した「PW-AC10」に続く、スマートフォンを連想させるコンパクトタイプの戦略製品「PW-AC20」などを投入。(同シリーズで中国語重視「PW-AC30」、韓国語重視「PW-AC40」も発売。)2011年のコンパクトタイプ電子辞書のトレンドを作った。

「PW-A9000」「PW-A7000」「PW-G5000」「PW-G4000」など新製品は、カラー液晶・堅牢構造・Wタッチパネル(メイン・サブ)。もちろん、音声対応・コンテンツも増やせる。加えて、動画やアプリで学べるのも特徴の1つ。業界をリードするカシオ電子辞書の新シリーズと機能性で遜色ない。


SII(セイコーインスツル)

2011年、セイコーインスツルは、新たなモデルを投入せず、発売中モデルにNHKラジオ講座のコンテンツカードをセットにした企画商品の販売に力を入れていた。
例えば2011年12月発売の「SR-S9003NH3」は、2011年1月発売の「SR-S9003」にNHKラジオ講座のコンテンツカードをセットにしたモデル。同様のセット製品・企画商品をいくつか投入している。
企画商品ではあるが新製品を投入したことにより、既存モデルがネット通販などで、非常に安くなっている。例えば「SR-S9003NH3」発売により「SR-S9003」の価格が大幅に下落。コストパフォーマンスの下がった1つ前の製品が購入の狙い目。


キヤノン

ここ数年、大人しかったキヤノンが新シリーズ・新製品を大量投入。大いに電子辞書業界・電子辞書売場をにぎわしている。

2010年前半に発売したカラー液晶コンパクトサイズの電子辞書「S501」「S502」を皮切りに、 2011年は、「A501」「A502」など「A」シリーズ、「S510」の「S」シリーズ、「Z400」に代表される「Z」シリーズを発売。
いずれも従来型と一線を画する、スタイリッシュでコンパクトな電子辞書。コンテンツを絞り価格を抑えるなど、カシオ電子辞書に代表される既存モデルとの差別化を図っている。