電子辞書
(2009.05.01)

【参考】過去(2008年)のメーカー情報はこちら
電子辞書を比較する上での基本的な知識とメーカーごとの製品の発売の傾向をまとめました。たくさんあってなかなか区別しにくい個々の電子辞書を比較する上での参考にしてください。


メーカー別の製品開発の傾向

カシオ
「エクスワード」ブランドを展開。電子辞書のシェアNo.1の地位を今なお維持している。製品ラインナップの充実度も他社を圧倒。電子辞書マーケットにおけるトップメーカーであり、購入にあたって、どの機種も機能面やコンテンツのクオリティは心配する必要はまずないだろう。「迷ったらカシオ製」と思ってもいいほど、電子辞書はカシオ製を買っておけば間違いはない。

以前は全体的に他社メーカーよりも、全体的に希望小売価格ベースでやや高めだったラインナップもかなりこなれてきた。コストパフォーマンスもよくなり死角がなくなっている。
さらに、2008年後半からの傾向として、多機能&多コンテンツながら価格を抑えカラーバリエーション揃える普及機を投入してきた。XD-SP6700とXD-SP4850がそれ。2009年には、最新の「XD-SF」世代で、総合モデルXD-SF6200と高校生モデルXD-SF4800を投入。業界トップレベルの機能性とバランスのとれたコンテンツながら、実売価格2~3万円前後。ロングセラー間違いなし。

2008年は、モデルチェンジやマイナーチェンジが例年に比べて減少。特に2008年後半は、上記2製品を除くと新発売はほとんどなかった。また、シャープに比べるとオーソドックスなラインナップと言える。
2009年前半は、フラッグシップモデルXD-GF10000と他「XD-GF」世代の2機種XD-GF6900とXD-GF9800をリリースしたのが一番のニュース。XD-GF10000は、実売45,000円程度のビジネスに強い最上位機種。価格が問題なければ、機能性や搭載コンテンツは申し分ない。

筐体シリーズは、2009年5月1日現在、ツインタッチパネル搭載の「XD-SF」「XD-GF」シリーズが「XD-SP」「XD-GP」シリーズに代わり最上位シリーズとなった。


シャープ
カシオに追いつけ追い越せ、電子辞書マーケットでカシオと2強に。

シャープのお家芸「液晶」を大々的にアピールして売上をのばしている。また、2006年年末からワンセグ視聴可能な電子辞書も発売。戦略的製品が見事にヒットさせている。
2008年の春モデル以降、新機種投入を控えるメーカーが多い中で、次々と新製品を投入している。搭載コンテンツも機能性も、まだまだ進化し続けている。
2008年7月には、旧来の「パピルス」ブランドに代わる新電子辞書ブランド「ブレーン」を発表。モバイル電子機器マーケットを見据えた戦略がうかがえる。
2009年前半は、多コンテンツタイプBrain PW-AC890、高校生向けBrain PW-GC590、生活総合PW-AT790を発売。新発売の「ブレーン」2機種はカラー液晶ながら実売3万円前後、新発売の「パピルス」機種は2万円前半。新発売の上位機種ながらコストパフォーマンスにも優れている。

搭載辞書の数や内容による差別化よりは、「ワンセグ」「カラー液晶」「MP3プレーヤー対応」などの機能面が充実。カシオや競合電子辞書メーカーとの差別化をはかっている。
搭載辞書もバランスがとれている。ビジネスバリバリというよりは日常生活のシーンで活躍しそうな傾向の揃え方。

ワンセグ電子辞書は、カラーバリエーションも揃えて、とにかく、カッコイイ。新しいもの好きのビジネスマンのハートをつかむ製品ラインナップとなっている。
加えて、最近の英語重視の機種に注目。「PW-LT320」など業界トップレベルの英語コンテンツの充実度。


SII(セイコーインスツル)
2007年春から秋にかけてマイナーチェンジもほとんどなく(英語以外の外国語モデルと中学生向けのモデルの新発売のみ)電子辞書マーケットからフェードアウトするかと思いきや…年末に電子辞書業界注目の戦略製品「SR-G9001」を発売した。
「SR-G9001」はUSB接続してパコソンからの入力と検索結果のコピペを可能にした「PASORAMA」と呼ぶユニークな機能を搭載した製品。機能性だけでなく、英語系コンテンツの充実度も抜群。同メーカーの他製品同様に手書きパッドの搭載はない。
2009年3月、同じく「PASORAMA」搭載の「SR-G10001」を発売。「SR-G9001」より、さらに、英語コンテンツ偏重になった英語プロフェッショナル向けモデル。

引き続き、多コンテンツ搭載機種や手書きパッド搭載製品は出さずに、大学生や英語をよく使うビジネスマンをターゲットとした英語に特化したモデルに絞ったラインナップを展開するよう。


キヤノン
中国語モデルと高校生モデルのラインナップはコンテンツも充実しており魅力的。一方、英語系やオールラウンド系の電子辞書は比較的弱い。中国語モデルと高校生モデルは、どちらも他社電子辞書メーカーより一足早く魅力的なコンテンツを搭載している。特に高校生モデルのコンテンツ充実度とコストパフォーマンスが光る。

2007年、2008年、モデルチェンジやマイナーチェンジはほぼない。英語重視やオールラウンドタイプの電子辞書に限れば、2007年2月のM300、V300の発売以降、新製品のリリースはなかった。
そこに、2009年1月、高校生向けV320発売のリリースが出る。英語の音声コンテンツを多く搭載しており、リスニング試験対策も必要な高校生をピンポイントで狙った機種。高校生向けの他の教科のコンテンツも充実させており、受験生や受験勉強を視野に入れた高校生には魅力的な機種。


その他独立系
数年前は見かけたテレビ通販や新聞通販で独立系メーカーの電子辞書も最近ではほとんど目にしない。寡占化が進む大手電子辞書メーカーが、主力商品と平行して、実売価格5,000円~8,000円程度の廉価版も出し始めたのが原因だろう。

そんな中、携帯型の音楽プレイヤー/マルチメディアプレイヤーのメーカー、アイリバー・ジャパンは、メディアプレイヤーとしても使えるコンパクトサイズの電子辞書「D5」を2008年6月13日に発売。同年末12月には価格を1万円下げて3万円以下で提供している。

その他の注目は、電子辞書以外の辞書機能。iPhoneやiPod touchの専用アプリでは辞書コンテンツが人気となっている。また、現状は突出したサービスは出てきていないが、コンテンツプロバイダ各社は携帯電話を電子辞書変わりにするサービスの提供を模索している。


ソニー
ソニーは電子辞書マーケットから撤退。