電子辞書
(2011.1.7)

【参考】過去(2008年)のメーカー情報はこちら
【参考】過去(2009年)のメーカー情報はこちら
【参考】過去(2010年)のメーカー情報はこちら
電子辞書を比較する上での基本的な知識とメーカーごとの製品の発売の傾向をまとめました。たくさんあってなかなか区別しにくい個々の電子辞書を比較する上での参考にしてください。


メーカー別の製品開発の傾向

2010年後半からの業界傾向
コンテンツ数や機能性を競っていた時代は終わりメーカー間・製品間での均質化が進んでいる。全体的な価格は、年々、下降傾向。最近では、メーカー各社からカラーバリエーションを揃えた汎用機を低価格で出す傾向が出ていた。
以前は、学生向けが価格を抑えて実売3万円程度に対して、一般向け(ビジネスマン向けおよび家庭生活型)が高付加価値製品で割高だったが、汎用機の価格下落によって、今年は学生向けと一般汎用機の価格が逆転する傾向がある。
2010年新たに投入された新ラインナップにおいて、学生向けが以前から変わらず実売3万円程度に対して、最上位クラスの一般向け汎用機が実売2万円台といったところ。
以前は、旧型や多コンテンツ・高機能な学生向け電子辞書を一般向けや2台目として利用することも検討の余地があったが、2010年からは、当てはまらないようだ。新発売の汎用機のほうが高性能で安価なことが多い


カシオ
「エクスワード」ブランドを展開。電子辞書のシェアNo.1の地位を今なお維持している。製品ラインナップの充実度も他社を圧倒。電子辞書マーケットにおけるトップメーカーであり、購入にあたって、どの機種も機能面やコンテンツのクオリティは心配する必要はまずないだろう。「迷ったらカシオ製」と思ってもいいほど、電子辞書はカシオ製を買っておけば間違いはない。

2010年は、「XD-A10000」「XD-A8500」「XD-A4800」など新シリーズ「XD-A」世代を投入して、電子辞書のラインナップを一新。2010年後半にも、同じく「XD-A」世代の「XD-A6200」「XD-A6600」「XD-A8600」を追加。それぞれカラーバリエーションを用意して価格を抑えた汎用機。最上位機種クラスが2万円台となった。2010年後半にかけてのカシオ電子辞書の新製品によって、メーカー各社が追随して、電子辞書全体の価格帯がググっと下がった

新モデルはすべて、耐久性(Blanview液晶・タフパワー設計・堅牢ボディTAFCOT)に優れ、カラー液晶を搭載した。製品ラインナップを絞ってきたのが今年の特徴。
「XD-A」世代の機種は機能性は同じ。メモを貼れる「カラー付箋」や画面に直接書き込む「カラーノート」、文字をマーキングできる「カラーマーカー」といった新機能も同じく搭載。去年までの世代のウリであった、ツインタッチパネル、音声対応、コンテンツの追加、はもちろん対応している。


シャープ
カシオに追いつけ追い越せ、電子辞書マーケットでカシオと2強に。店頭で電子辞書を見比べると、カシオとシャープのディスプレイの鮮明度は抜群。2強は製品の完成度が高い

2010年は、年末に2011年1月発売の4製品「PW-A9000」「PW-A7000」「PW-G5000」「PW-G4000」のニュースリリースがあった。他社メーカー同様に、学生向け(最終的に実売3万円台程度か)と最上位クラスの一般向け汎用機(最終的に実売2万円台程度か)となるのか注目される。
2011年1月発売の4製品までのラインナップでは、「PW-AC10」「PW-AC920」「PW-AC110」など、学生向けと一般向けのどちらも、コンテンツや機能性を充実しつつも価格を抑えた非常に競争力のある電子辞書を揃えていた。すでに実売価格が低くなっているので4製品発売以降もオススメできる電子辞書にかわりはないだろう。

2010年、シャープの電子辞書は、新コンセプトの電子辞書「PW-AC10」の登場が一番のニュースだ。
「PW-AC10」は、シャープのコンパクトタイプ電子辞書の最上位機種というよりは従来の電子辞書とはコンセプトを異にした戦略製品。斬新な筐体デザイン。キャッチコピーは「片手で操作、手軽に持ち歩ける、世界最軽量のカラー電子辞書」。コンテンツ数は厳選した12しか搭載していない。海外への旅行や出張での利用を中心としたモバイルでの利用に特化した電子辞書。実売価格1万円を切るコストパフォーマンスも含めて魅力十分だった。

新発売の電子辞書もこれまで同様に、筐体デザインがカッコイイ。2010年後半、シャープ電子辞書を意識してのことだろうが、他社発売の電子辞書はデザイン的に優れたものが多く登場していた。それでもシャープ電子辞書は、筐体デザインだけをとっても同レベルかさらに上をいっている気がする。


SII(セイコーインスツル)
2010年は、カシオ、シャープほどに新製品を投入しなかった。カタログやメーカーサイトには、2009年以前の製品も多く並んでいる。
新規投入のほとんどのモデルは、USB接続をしてパコソンからの入力と検索結果のコピー&ペーストなど、パソコンとの連携を可能にする「PASORAMA(パソラマ)」と呼ぶ機能を搭載した電子辞書。 相変わらず、カシオやシャープ、キヤノンのようにカラー液晶のモデルは投入せず。セイコーインスツルの電子辞書の画面表示はモノクロのまま

もともと、「英語」に力を入れているセイコーインスツルだが、2010年後半、注目すべきユニークな「SR-G9003」と「SR-G6100NH」の2モデルを投入している。
「SR-G9003」は、異常なくらいに英語コンテンツに偏った機種。英語専門電子辞書と割り切るくらいの使い方が求められるモデル。「SR-G6100NH」は、NHK「ラジオ英会話」1年分の音声データと対応テキストを収録したモデル。


キヤノン
2010年後半、韓国語・中国語など英語以外のコンテンツをメインとしたモデルは発売されたが、英語重視や一般向け(ビジネス系や生活重視系)の電子辞書の発売はなかった。

2010年前半に発売したカラー液晶コンパクトサイズの電子辞書「S501」「S502」が、カシオ電子辞書の中で、最も力を入れているモデル。電卓のような縦長の筐体や専門機のように絞りに絞ったコンテンツなど、他社メーカーと一線を画するユニークな電子辞書。
搭載コンテンツを絞ったことにより実現したのだろう。「S501」「S502」は実売1万円を切る価格。価格面でも他社メーカーと一線を画する。