電子辞書
2006.9.12
【参考】過去(2004年)のメーカー情報はこちら

電子辞書を比較する上での基本的な知識とメーカーごとの製品の発売の傾向をまとめました。たくさんあってなかなか区別しにくい個々の電子辞書を比較する上での参考にしてください。

電子辞書の製造コストについて

電子辞書の製造コストを知ることは、違いの分かりにくい電子辞書という製品のコストパフォーマンスを知る上で役に立つので、ここで紹介する。
電子辞書の主な製造コストは、以下になる。
  1.筐体製造費(液晶ディスプレイ以外)
  2.液晶ディスプレイ
  3.メモリ
  4.筐体開発費
  5.検索ソフトウェア開発費
  6.辞書コンテンツのロイヤリティ費
このうちで、発売メーカーや機種ごとで大きく異なるのは、2と3と6だ。購入者はこれらのポイントを考えながら価格表を見るのがいい。
液晶ディスプレイの表示サイズや表示精度がよくなるほど電子辞書の価格は上がる。辞書コンテンツを多く搭載していればいるほど辞書コンテンツのロイヤリティが高くなり、また記憶容量の大きなメモリを必要とするので電子辞書は高くなる。

ただ、数年前とは異なり、3のメモリは技術革新と大量生産で容量に対する価格は大幅に下がっている。数メガ程度の容量の差はメモリの価格にあまり反映されない。とはいえ、大きな容量を必要とする音声データや画像データの搭載の有無はメモリ価格に影響してくる。それゆえ、音声データや画像データを多数含む電子辞書は必然的に高くなる。

辞書コンテンツのクオリティについて

数年前と違い、どのメーカーにも採用されているようなメジャー辞書コンテンツのクオリティはメーカーや製品ごとの差はなくなってきている。多くの製品に搭載されていくうちに、たくさんのメーカー担当者やユーザーの目にふれて、誤字・脱字はどんどんなくなっているからだ。
ただ、やはり、それぞれのメーカーで新たに搭載されるコンテンツは誤字・脱字・誤表記があることも…。同一コンテンツを搭載した同一メーカーの旧機種と新機種であれば新機種を選んでおけば間違いはない。

メーカー別の製品開発の傾向

カシオ
「エクスワード」ブランドを展開。電子辞書のシェアNo.1の地位を今なお維持している。製品ラインナップの充実度も他社を圧倒。電子辞書マーケットにおけるトップメーカーであり、購入にあたって、どの機種も機能面やコンテンツのクオリティは心配する必要はまずないだろう。「迷ったらカシオ製」と思ってもいいほど、電子辞書はカシオ製を買っておけば間違いはない。
ただ、2006年度のラインナップは、他社メーカーに比べると、全体的に定価ベースでやや高めになっている。高機能・多コンテンツで実用性は高いが、ちょっと高くて買うのに悩む…そんな電子辞書が多いかもしれない。

ソニー
ソニーは電子辞書マーケットからの撤退が決まっている。これまで多くの名機種を世に送り出してきたが…実に残念だ。ソニー製の電子辞書の中でもコンパクトサイズの製品はどれも評価が高かった。コンテンツも5年や10年たっても変わらないものを搭載しているものが多いので、安くなった中古の売り出しがあればお買い得かもしれない。

SII(セイコー)
最近、勢いがない。多コンテンツ搭載機種は出さずに、コンテンツを絞り込んで定価で3~4万円の比較的手頃な機種を出してきている。
早くから、英英辞典や英語類語辞典などを搭載した英語学習を特に意識した電子辞書を発売しており「英語学習なら、SIIの電子辞書」といったブランドイメージを確立していたのは今や昔。
他社メーカーが機能やコンテンツを充実させていく中で、セイコー製の特長が薄れてきつつある。

シャープ
シャープのお家芸「液晶」を大々的にアピールして売上をのばしている。カラー液晶の電子辞書を発売しているのもシャープ。カラー液晶の電子辞書の中にはテレビ出力ができる機種も登場している。ここ数年でコンテンツや機能の充実度もすすみ他社メーカーとの差はなくなった。
SDカードスロットによりコンテンツを増やす機能や音声対応の機種も多く製品ラインナップも豊富に。カシオの対抗として多コンテンツタイプの辞書を投入。コンテンツの選定がもう少し良くなれば言うことなし。

キヤノン
中国語モデルと高校生モデルのラインナップはコンテンツも充実しており魅力的。一方、英語系やオールラウンド系の電子辞書は比較的弱い。中国語モデルと高校生モデルは、どちらも他社電子辞書メーカーより一足早く魅力的なコンテンツを搭載している。特に高校生モデルのコンテンツ充実度とコストパフォーマンスが光る。

その他独立系
数年前は見かけたテレビ通販や新聞通販で独立系メーカーの電子辞書も最近ではほとんど目にしない。上記で言及している国内の電子辞書メーカーが実売価格5000円~8000円程度の廉価版を出しているのが原因だろう。