呉服売場店員・丁稚の日記

第1回



2月2日(月)
寒空の中「振袖の大祭典」の案内状を持って訪問勧誘。
今日は江東区中心に4件こなす。それでも、まだ20件以上
のこっている。もう催事当日まで一週間を切った。
だいたい、このペースで大丈夫だろか。
行ったことにして、どっかにパンフを捨てちゃいたい。
捨てたらバレるだろうか。捨てちゃおうかな。
うん。明日こそ捨ててやる。



2月3日(火)
6件中3件が留守。マンション住まいの人は共働きが多いのか。
ここまで、15件こなしているが、まともに勧誘できたのは
わずか数件。今日なんか、ドアのチェーンすらはずしてもらえな
かった。売り込みとはいえ、人が話してるんだから、チェーン
くらいはずせよな。
店に戻ると豆撒きが始まってた。今年のオニの役は紳士服と
婦人洋品売場の同期2人。おまえらはいいよなぁ。外売しなくて
いいから。あーあ、なんでオレはこんな売場に配属になったの
だろう。



2月4日(水)
5日連続出勤後の休暇。たまの休みくらい充電しないと。
憂さ晴らしにハーゲーンダッツのアイスクリームを食べまくる。
オレが疲れているからって、気を利かせて、彼女が家まで
来てくれた。うう、苦労かけるなあ。



2月5日(木)
岩田(帯のメーカーである)さんが車を出してくれた。
おかけで、わずか3時間の間に7件まわれた。借りができちゃった
なあ。いつか、岩田の帯を売りまくって恩返しするからね。
でも、訪問の合間にサボることができなかったなあ。
今日はヤンジャンの発売日だから、どっかのコンビニで立ち読み
するはずだったのに。



2月6日(金)
店番。外出なし。平和だ。
不況のせいか、呉服売場には客がいない。大丈夫なのか。
応対した客は1人だけ。その一人もオレが接客していた客なのに
マネキンさんに着付けをお願いしている間に係長にとられる。
てめぇ。オレが接客していた客だろがぁ。売れそうになると
人の客とりやがって。自分の売り上げにしやがって。殺すぞ。



2月7日(土)
シフト上は代休日。でも、ボクの訪問勧誘の担当分が終わって
ないので、サービス出勤。社会人ってつらいよね。